ミノキシジルの副作用でむくむってホント?
掲載日:2020.03.24 更新日:2020.03.27
この「ミノキシジルの副作用とむくみ」の記事について
薄毛のAGA(男性型脱毛症)治療薬として知られるミノキシジル。高い発毛効果が期待できますが、その一方で「むくみの副作用がある」とも言われています。ミノキシジルをAGA(男性型脱毛症)治療薬に使ったときの発毛メカニズムや、それに伴う副作用。そして、その中でもむくみについてフォーカスを当てて説明いたします。
(このコラムのポイント)
- 髪の毛にはヘアサイクルという周期がある
- ヘアサイクルの停滞が進むと薄毛が進行する
- ミノキシジルの血管の拡張作用が薄毛を改善する
- ミノキシジルには体のむくみなどの副作用リスクがある
- 体のむくみはマッサージや生活習慣の改善でケアをする
- ミノキシジルは内服薬(ミノタブ)と外用薬(塗りミノ)の2種類がある
- ミノキシジル内服薬(ミノタブ)は、日本で国内製造販売されていない
- ミノキシジルの副作用が出たら、必ず医師・薬剤師に相談しよう
ミノキシジルの副作用「体のむくみ」
薄毛のAGA(男性型脱毛症)治療薬として高い効果が期待できるミノキシジルは、体のむくみなど副作用のリスクがあることでも知られています。
ミノキシジルの副作用を知る前に、どうして人は薄毛になるのか、そのメカニズムを学びましょう。
髪の毛は、毛根の毛母細胞が細胞分裂して成長し、その後、新しい髪に押し出されるように抜け落ちていきます。この循環がヘアサイクルと言われ、成人男性で2〜5年、成人女性で4〜6年とされています。
このヘアサイクルが乱れると、生える毛よりも抜ける毛の方が多くなるため、ゆるやかに薄毛が進行します。
ミノキシジルのような薄毛のAGA(男性型脱毛症)治療薬には、血流を促進することで発毛を促し、薄毛を改善する働きがあるのです。
ミノキシジルによる発毛メカニズム
ミノキシジルの発毛メカニズム
では、ミノキシジルの発毛メカニズムはどのようになっているのでしょうか。 ミノキシジルには、血管を拡張させる作用があります。血管が拡がると血流が増大し、栄養が血液に乗ってたくさん運ばれます。その栄養を吸収し、活動が停滞していた毛母細胞が活性化。細胞分裂を繰り返し、発毛が促進されるというわけです。
フィナステリドとデュタステリドの発毛メカニズム
薄毛治療薬には、ミノキシジルの他にも「フィナステリド」や「デュタステリド」という成分を主としたものもあります。この2つは、AGA(男性型脱毛症)を間接的に引き起こす「5αリダクターゼ」という酵素のはたらきを抑制することで、薄毛を治療するものです。いわば「薄毛を食い止める」という現状維持が主目的になっています。それに対してミノキシジルは、毛母細胞を直接刺激して発毛を促進させるというものです。
ミノキシジルの発毛作用は公式に認められています。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」(※1)でも、ミノキシジル外用薬の有用性については高く評価されています。
(※1 出典元:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
ミノキシジルにはむくみなどさまざまな副作用リスクがある
AGA(男性型脱毛症)治療薬として強い発毛効果が期待できるミノキシジルですが、その分、副作用のリスクも持ち合わせています。
ミノキシジルの開発経緯
ミノキシジルはもともと、血圧降下剤として開発された薬でした。高血圧症の患者さんの血管を拡げ、血圧を下げるというものです。しかし使用者から「体毛が増えた」という“副作用”が報告され、薄毛のAGA(男性型脱毛症)治療薬としても開発されるようになりました。 そのような経緯もあり、ミノキシジルの副作用は降圧剤の副作用と共通した要素があります。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルの副作用は、皮膚のかゆみや発疹、かぶれといった、皮膚トラブルが代表的です。これは、血管の拡張で血流が豊富になることから起こると言われています。また、血流が増加すると心臓の負担が増すことから、胸が痛んだり、心拍が速くなったりするほか、頭痛や頭がぼんやりする等の副作用も報告されています。
その中でも、人の見た目を左右しかねない副作用は、「顔や手足のむくみ」といった代謝系のトラブルです。
次の項目では、手足のむくみについて詳しく見ていきましょう。
ミノキシジルの副作用「顔や手足のむくみ」
ミノキシジルは、もともと血圧の降下剤(降圧剤)として開発されたことは、ご説明した通りです。ミノキシジルを使用すると、血液を流す動脈に拡張作用が働き、血流が増えます。しかし、血液を戻す静脈には拡張作用が働かないため、血管を通して行き渡った血液は、同じ量を戻すことができず、末端に溜まります。これがむくみの原因となります。
また別の視点では、(ほとんどの薬と同様に)ミノキシジルは肝臓で分解され、腎臓でろ過されて尿となり、体外へ排出されます。このとき肝臓や腎臓に負荷がかかると機能低下が起こり、体がむくんでしまうといった理由も考えられます。
むくみの副作用は全身に現れますが、顔や手足のむくみは、露出しているので目立ちます。あごのラインや首回りのむくみは顔の形が変わってしまうため、特に女性にはやっかいな問題と言えます。
また、ミノキシジルの副作用として「原因不明の体重増加」も報告されています。これも、体のむくみから起きていると考えられています。
ミノキシジルの副作用「顔や手足のむくみ」は、どう対処すればいいの?
ミノキシジルの副作用として起こる、顔や手足のむくみ。お薬の副作用ですから、薄毛治療にミノキシジルを使用している限り、副作用のリスクが消えることはありません。
ミノキシジルによるむくみ対策は、一般的なむくみ対策と同じです。あまりひどいむくみのようであれば、利尿剤等の処方も必要かもしれません。ただし注意するべきは、むくみは自然に起きたのではなく、ミノキシジルの降圧作用で起きていること。むくみ解消を安易にお薬に頼ると、体への負担が増大してしまう可能性もあります。
むくみ解消には、血行促進と代謝を良くすることが不可欠です。
自分でできる顔や手足のむくみ対策に、入浴やマッサージ、ストレッチなどを活用しましょう。
例えば、足のむくみケアとしては、以下のようなマッサージが有効です。
<足のマッサージ方法>
(1)太ももの付け根部分を軽めに押す(左右各15秒)
(2)足裏をほぐすように押す(左右各30秒)
(3)足の甲を足指から足首方向にさする(左右各30秒)
(4)足首を筋に沿って、ひざ方向にさする(左右各1分)
(5)ふくらはぎを両手で包み、足首からひざにかけてさする(左右各1分)
(6)太ももをひざ上から付け根方向にさする(左右各1分)
むくみ対策のマッサージにアロマオイルなどを使用すれば、心身のリラックスにも効果が期待できます。
そのほかにも、軽い運動や栄養バランスを保つなど、生活習慣そのものを見直すことも大切でしょう。
2つのミノキシジル「外用薬(塗り薬)」と「内服薬(タブレット)」
ミノキシジルには、タブレットの内服薬(ミノタブ)と、いわゆる塗り薬の外用薬(塗りミノ)の2種類があります。
ミノキシジル内服薬(ミノタブ)の購入方法
ミノキシジルタブレット内服薬(ミノタブ)は、日本では販売されていません。効果が認められた医薬品なので、ミノキシジル内服薬(ミノタブ)は副作用が出る可能性もあります。ミノキシジル内服薬(ミノタブ)はAGA(男性型脱毛症)治療の専門医師の診断を受け正しい処処方の上での服用が望ましいでしょう。
ましてや、通販サイトのミノキシジル内服薬(ミノタブ)の個人輸入代行などはしないほうが無難です。
ミノキシジル外用薬(塗りミノ)の購入方法
ミノキシジル外用薬(塗りミノ)は一般用医薬品の「第一類医薬品」に分類されています。そのため、病院に行かなくとも、薬剤師が常駐する薬局やドラッグストアで購入が可能です。
ミノキシジル外用薬(塗りミノ)は、頭皮に直接塗布します。そのため、ミノキシジルの成分が直接頭皮の毛母細胞に届くことになります。ミノキシジル外用薬(塗りミノ)の主な副作用は皮膚症状ですが、稀にそれ以外の症状も起こり得るため、薬剤師や医師の指導のもと、用法用量を守って使用するようにしましょう。
ミノキシジルの副作用が心配なときは医師の診察を
内服よりは副作用のリスクが低いミノキシジル外用薬(塗りミノ)ですが、肝心なことは、使用時は正しい用法用量を守ることです。薄毛や脱毛のAGA(男性型脱毛症)治療は「翌日すぐに毛が増える」という劇的な効果は望めません。ヘアサイクルや髪の毛の育成過程を考慮すると、少なくとも4ヶ月はミノキシジルによるAGA(男性型脱毛症)治療を継続しないと、目に見えた効果は認められないでしょう。
「早く髪の毛が生えてほしい」と、焦って薬剤を塗布し過ぎると、かえって頭皮が荒れたり、かぶれたりしてトラブルが誘発されます。それが発毛に逆効果なことは明白です。
また、ミノキシジルの副作用には個人差があります。副作用リスクの少ない外用薬といっても、使用中は体調の変化に注意しましょう。また万が一、副作用の疑いがある場合には、直ちに使用を中止して薄毛やAGA(男性型脱毛症)治療の医師の診察・アドバイスを受けましょう。
まとめ
ミノキシジルの副作用とむくみの関係についてお分かりになりましたでしょうか。
薬は正しく使ってこそ、正しい効果が得られるものです。焦らず、慌てず、ミノキシジルと末永くつきあっていきましょう。
今回のミノキシジルの副作用とむくみについての記事は以上です。
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