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髪の毛の生え替わり周期を知る!季節の抜け毛か脱毛症かチェック

最終更新日:

【毛髪診断士監修】髪の毛の生え替わり周期を知る!季節の抜け毛か脱毛症かチェック

髪の毛は毎日100本近くが自然に抜けるものですし、髪の毛の生え変わり時期はさらに抜け毛が増えます。ですが、薄毛の初期症状のサインかもしれない抜け毛を「きっと自然脱毛だ」と見過ごして対策が遅れるのも避けたい事態です。

髪の毛の生え変わりと脱毛症の違いを把握する方法はあるのでしょうか。

抜け毛を抑える対策方法とともにご説明します。

この記事の監修
医薬開発研究課 課長/毛髪診断士 長内 尚(オサナイ ヒサシ)

医薬開発研究課 課長/毛髪診断士

長内 尚(おさない ひさし)

早稲田大学理工学部応用化学科および早稲田大学院先進理工学部応用化学研究科を卒業後、大手化粧品メーカーに入社。
2015年にアンファー株式会社に転職。
スカルプDをはじめアンファー商品全体の商品開発責任者として従事し、現在は新規事業企画部門責任者も兼務。

sec.1 ヘアサイクルでみる髪の毛の生え変わり

ヘアサイクルでみる髪の毛の生え変わり

髪の毛の生え変わりの周期を「ヘアサイクル」と呼びます。
ヘアサイクルは成長期、退行期、休止期の3つの流れで行われています。自然脱毛について正しく理解するヒントが、このヘアサイクルに含まれています。

ヘアサイクルの3ステップ

それぞれの段階の状態や役割を確認しましょう。

■ 成長期
成長期は新しい髪の毛が生え、伸びる時期です。

成長期はさらにいくつかの段階に分かれ、序盤の早期成長期には、頭皮にある毛母細胞が細胞分裂をくりかえして増殖し、髪の毛を作ります。ある程度髪の毛が成長した時期を中期成長期、髪の毛が長く太く成長した状態を後期成長期と呼びます。

髪の毛全体のうち約90%がこの成長期にあたり、約2~6年かけて髪の毛は成長します。
■ 退行期
髪の毛がある程度成長した後は、髪の毛の成長が止まる時期、退行期に入ります。

毛母細胞の分裂による髪の毛の生成、成長を終え、次第に毛根が小さくなり、約2週間で髪の成長が止まります。

髪の毛のうち約1%が退行期に該当します。
■ 休止期
成長が完全に止まったのち、髪の毛が抜けるのを待つ時期、休止期というに入ります。

休止期にあたる髪の毛はシャンプーやブラシといったごく軽い外部からの動ききっかけに、あるいは新しく生えてくる髪の毛に押し出されたときに抜け落ちます。

髪の毛のうち約10%が休止期に入っています。休止期の約3~4か月の間、髪の毛は抜け落ちやすくなるでしょう。

この、休止期に入った毛が抜け落ちるのが自然脱毛です。

sec.2 抜け毛が多いのは仕方ない?髪が抜けるメカニズム

自然脱毛により、毎日約100本程度の髪の毛が抜け落ちます。

薄毛症状が始まっている人は「抜け毛は少ないほうがいい」と感じるでしょうが、退行期、休止期の毛はいわばすでに役目を終えた髪の毛です。

成長期の髪の毛が押し出すことからもわかるように、役目を終えた毛が抜けて、新たな髪のために席を空けてやることは髪全体の成長の観点からすれば有益なことなのです。

また、成長期の髪の毛はその間に増え続けます。髪の毛が毎日100本抜けると聞くと不安になりますが、日本人男性の髪の毛の本数は平均約10万本です。「全体の0.1%が、生え変わりに必要な過程として抜けているに過ぎない」と考えて安心しましょう。

季節によっても抜け毛は増える
春と秋は抜け毛が多くなる時期です。

動物の体毛の生え変わりと同様に、人間の髪の毛も生え変わりの時期があります。

「なぜ生え変わりが起きるのか」については「季節という環境要因に適応するため」と考えられます。春になると、冬の間に生えた髪の毛が抜け、夏の暑さに対応するための新たな髪の毛の成長を始めます。秋になれば、夏に生え、成長した髪の毛よりも冬の寒さに適した髪の毛を成長させるために、準備として抜け毛の量が増えます。

季節によって抜け毛量が増える現象も、新たに毛を生やして成長させるための準備だとわかれば、自然脱毛同様に心配しなくても問題ありません。

ただ、夏の頭皮ケアは入念に行なわないと秋に抜け毛が増える原因になります。
夏は強い紫外線が降り注ぐ季節で頭皮がダメージを受けやすいため、頭皮ケアを怠るとダメージが蓄積されます。その影響が秋にあらわれて、抜け毛が増えるようになります。
夏のダメージで秋に抜け毛を増やさないためにも、紫外線対策と頭皮ケアをしっかり行ないましょう。外出時は日傘を差したり、帽子をかぶったりするだけで紫外線による頭皮のダメージは減らせます。日傘や帽子を使えない場合は紫外線カット効果のあるヘアスタイリング剤を使うのがおすすめです。
また、長時間屋外にいた日は頭皮が日焼けを起こしている状態なので、刺激の強いシャンプーを使うと、頭皮に大きなダメージを与える可能性があります。頭皮をやさしくケアするためにもアミノ酸系の低刺激のシャンプーを使いましょう。

sec.3 自然脱毛ではない抜け毛は「脱毛症」

季節要因やヘアサイクルによる自然脱毛ではない、他の原因による抜け毛は「脱毛症」に分類されます。

いくつかの脱毛症と、その症状についてご説明しましょう。

AGA(男性型脱毛症)
AGAは遺伝的要因や、ジヒドロテストステロン(DHT)という脱毛を促す男性ホルモンの増加が原因で起こる脱毛症状です。

AGAではヘアサイクルの成長期が短くなるため、髪の毛は細く、弱々しく、抜けやすい状態になり、抜け毛が増えます。

額の生え際近辺か頭頂部のいずれかに、あるいは両方同時に症状が現れることが多い特徴があります。
円形脱毛症
円形脱毛症は、10円玉の大きさくらいの範囲で脱毛斑(毛が抜けた部分)ができる脱毛症です。

たいていは1、2か所の脱毛斑が、やや重い症状ですとそれ以上の数の脱毛斑が現れます。さらに重度の場合は多数の脱毛斑がつながって髪の毛のある部分とない部分がまだら状になる、あるいは髪の毛全てが抜け落ちることもあります。

円形脱毛症は自己免疫疾患のひとつです。自己免疫疾患とは、本来は異物や危険物質を攻撃して体を守るための免疫系が、自分の体の組織や細胞に反応して攻撃し、障害や病変をきたす疾患の総称です。

円形脱毛症の場合は、免疫系が毛母細胞を攻撃し、髪の毛が抜け落ちます。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症は頭皮の皮脂の分泌が増えることで発症する脱毛症です。

目で見てもすぐわかるほどに皮脂が過剰に分泌されており、余剰の皮脂が毛穴に詰まって炎症を起こした結果、髪の毛が抜ける症状で、抜け毛以外にもフケの量が増える、頭皮が赤くなりかゆみが出るといった症状を併発します。

皮脂量がここまで増える原因として男性ホルモンの分泌が考えられ、また感受性が高く精神的に不安定な思春期に発症しやすい傾向があります。なお、脱毛症としてはきわめてまれなケースです。

sec.4 脱毛症に合わせた治療法・対策

脱毛症に合わせた治療法・対策

脱毛症を発症した場合は、医療機関で治療を受けましょう。脱毛症ごとの治療方法をご説明します。

AGAの治療
AGAの治療には、主に内服薬のプロペシア、外用薬のミノキシジルが処方されます。

プロペシアは脱毛を促す男性ホルモン、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制し、抜け毛や薄毛の悪化を防ぐ作用があります。

またミノキシジルは血行を促進する作用があります。毛母細胞は血液から栄養を受け取って髪の毛を生成するので、血行が促進されることで頭皮と毛根に栄養が届き、髪の毛の成長と発毛を促します。
円形脱毛症の治療
円形脱毛症の治療には、脱毛箇所にステロイド剤を注射する「ステロイド局注」を行ないます。ステロイドには免疫の働きを抑える効果があり、抜け毛の進行を抑えるのに効果的です。

局所免疫治療法という治療法もあります。これは脱毛箇所にアレルギー物質を塗布してかぶれを引きおこし、免疫がかぶれを認識して正しく作用するように促して、脱毛を抑えることで治療を試みる方法です。

他には内服薬、塗布する外用薬を処方して治療する場合もあります。
脂漏性脱毛症の治療
脂漏性脱毛症は炎症を抑えるために、内服薬の抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤が処方されます。この2つの内服薬は、強いかゆみがある場合に処方されることが多い薬です。炎症が悪化すると、マラセチア菌という頭皮の真菌が増殖します。マラチア菌を殺菌するために、外用抗真菌薬を使用します。
脱毛症を抑えるカギは頭皮環境
脱毛症による脱毛を防ぐためには、脱毛症を改善し、髪の毛が抜けにくい頭皮環境にすることが重要です。医療機関による治療を受けながら、自宅で、自分でできる努力としてはヘアケアがあります。皮脂の量をコントロールし、清潔な頭皮環境を維持できるよう、髪の毛と頭皮にはたらきかけるシャンプーを選びましょう。
髪の毛の生え替わりに良い食べ物
髪の毛は食事で摂取する栄養素によって作られているので、栄養の偏った食生活を送っていたり、過度な食事制限をしていたりすると栄養不足で抜け毛が増えます。抜け毛を増やさないためにはタンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂取することが大切です。

髪の毛に良い栄養素

・タンパク質
髪はタンパク質でできているため、食事で摂取するタンパク質は髪の毛の材料になります。

・ビタミン類
血行促進、抗酸化作用、コラーゲン生成などのはたらきで髪の毛と頭皮を健康にするはたらきがあります。

・ミネラル類
タンパク質の合成のサポート、髪の毛のもとになる毛母細胞の活性化などのはたらきがあります。
どのような食べ物が抜け毛の予防に効果的なのか、詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
髪の毛の成長に必要な質の高い睡眠
睡眠中に多く分泌される成長ホルモンには頭皮のダメージを補修するはたらきがあります。睡眠不足で成長ホルモンが減少すると頭皮のダメージが回復せず、抜け毛を増やす原因になります。それを防ぐためにも質の高い睡眠をとることが大切です。

以下の記事では睡眠の質を高める方法を紹介しています。

sec.4 自然脱毛は気に病まない 脱毛症ならすぐに治療を!

抜け毛が多くなったと感じても、髪の毛の生え変わりによる自然脱毛であれば問題はありません。

ですが、なんらかの脱毛症の疑いがあるならば、医療機関で治療を受けましょう。

また、常日頃から脱毛症を防ぐための頭皮ケアを行い、髪の毛をしっかりと成長させることを心がけましょう。

この記事の監修
医薬開発研究課 課長/毛髪診断士 長内 尚(オサナイ ヒサシ)

医薬開発研究課 課長/毛髪診断士

長内 尚(おさない ひさし)

早稲田大学理工学部応用化学科および早稲田大学院先進理工学部応用化学研究科を卒業後、大手化粧品メーカーに入社。
2015年にアンファー株式会社に転職。
スカルプDをはじめアンファー商品全体の商品開発責任者として従事し、現在は新規事業企画部門責任者も兼務。

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